「大樹くん……もう涙出てないよ?」
あたしの涙が完全に乾くまで2〜3分はかかった。
その間あたしを、大樹くんはずっと抱きしめてる。
なんで、抱きしめてるの?
あたしは、意味が分からずじまいでずっとされるがまま。
あたしの肩口に大樹くんの額が乗る。
「……っ」
いきなりのことに驚いて、声が出そうだったけど、なんとか抑えた。
「……ごめん。ほんとにごめんな」
「え……」
なぜか大樹くんが謝っている。
誰に?あたしに?そんなわけない。
「あの、大樹くん……!」
少し声を大きくして呼ぶ。
すると、あたしの声が聞こえたのかピクリと反応した。

