「ふっ、俺ん家行かない?」
大樹くんのお家?
大樹くんは、今日は母さんがいるはずだから、と微笑む。
「見合い、いきなりだったから話す機会なかっただろ?」
だから、良ければ行かない?と誘われる。
「行くっ!行きたい!」
あたしが勢い良くそう答えると、大樹くんはまた、ふっ、と笑った。
そういえば、大樹くんって、あんまり大きな声で笑わないんだよね。
ニヤリとした企んだ顔はあるけど。
あたし、力不足だぁー……。
「……樹里?」
「あ、いやっ!考えごとしてた」
言えない……言うつもりないけど。
「じゃ、支度してきますっ」
あたしはそう言って2階へ上がった。
─────────────────────……

