「ふっ……ふは」 大樹くんがいきなり笑い出した。 「だ、大樹くん……?」 「耳……真っ赤だよ」 「ふぁ!?」 今の自分の状態をピタリと言い当てられて意味の分からない変な声が出た。 「俺、泣いたの2回目だ」 「2回目……って?」 1回目があるってこと? 「樹里が、俺のこと忘れたとき」 「えっ……!?ご、ごめんなさいっ!」 大樹くんはあたしを離す。 「そして、思い出してくれたとき」 その言葉と同時にニッと微笑んでくれた。 その笑顔を見て、あたしまで嬉しくなる。