思い出してほしいけど、相手に嫌な思いしてほしくない。 大樹くんは、自分の気持ち押さえ込んで、あたしの気持ちを大事にしてくれた。 こんなに嬉しいことってないよ。 「大樹くん」 「……ん?」 大樹くんの声は少し掠れていた。 「今まで待っててくれてありがとう」 「っ……」 またあたしの手に涙が落ちてきた。 ふ、と温もりが離れる。 あ、離れちゃうのかな……? でも、グルッとあたしは回って大樹くんの方を向かされた。 でも、顔は見れなかった。 なぜなら……今度は正面から強く抱き締められたから。