「思い出して、あの時護ってあげられなかった俺のことを顔を見たくないくらい嫌になるんじゃないかと」
「そんなことっ!思うわけない!」
ありえないことを口にした大樹くんにあたしは大きな声で遮った。
「そっか……お見合いの日に、聞いたよな。6〜7歳のこと覚えてるか」
あ、あの時のことか。
第一ヒントをもらった日。
「その日、もう心臓バクバクでさ。名前呼びたいからそのことを思い出してほしかった」
少し辛そうに言う大樹くん。
「だけど、もう2度と悲しそうにしている顔を見たくなかった」
矛盾してるよな、と後ろからつぶやかれる。
矛盾するのは当たり前だよ、きっと。

