今まで何もかも背負わせて。
なのに、あたしは何も知らなくて。
バカなんだよ、今までのあたし。
大樹くんの心の奥底の痛みを、知ろうとしなかったあたしは大樹くんに失礼だ。
「大樹くんさ、あたしの名前……呼んでくれる?」
ボソリと口から言葉が漏れた。
「……っ、呼びたい」
呼んでくれるか聞いたのに、返ってきたのは“呼びたい”という言葉。
もしかしてこれ……大樹くんの本音?
呼びたいなんて言われたら、あたし自惚れちゃうよ。
あたしのことを好きでいてくれているんじゃないかって。
呼んでくれるのなら……今ここで“約束”という鎖を断ち切るね。