それだけはヤダな。
そばにいて……ワガママだけど。
何を思ったのか、大樹くんはあたしを自分の方に引き寄せた。
「ホント、マジで心配した……」
そしてその声とともにギュッと抱きしめられる。
「なんで……」
なんで、怒らないの?
来て損した、って来るんじゃなかった、って……思わないの?
「なんでって……理由がいる?」
「えっ……」
「ていうか、ごめんな……すぐ来れなくて」
なんで……謝るの。
「名前も呼んでやれなくてごめん」
そんなこと言わないで。
「っ、大樹くんは悪くないよ……」
悪いのは、あたしなの。

