今、“樹里”って呼んだ? あたしのこと名前で呼んだ? ……信じられなかった。 夢じゃ、ない……よね? 「お、藤堂大樹くんじゃないか」 「……何してるんですか、俺の彼女に。ていうか、どいてください」 「やだなぁ、そんな怖い顔しないでよ。申し込んでただけだよ」 怒りの大樹くんに柔らかな物腰で言う香月さん。 ていうか、いい加減どいてほしいです。 「申し込む?何をですか」 訝しげに聞き返す大樹くん。 「……そんなの決まってるじゃないか」 大樹くんを見てニッコリと笑って彼は答えた。