「助けてっ、大樹くん!」 大樹くんだけ。 あたしは、大樹くんが好きだから。 「ねぇ、樹里……」 ガチャンッ いきなりの音に目を瞑った。 な、何かされるっ……!? 「はぁっ、はっ……樹里」 ずっと聞きたかった声が聞こえた。 この声は、この声は……! 「大樹くんっ!」 肩で息をする大樹くん。 助けに来てくれた。 今も昔も助けてくれたのは……大樹くん。 止まった涙がまた流れそうになった。 ……あれ、でも。 あたしはさっきの言葉を思い出した。