「どうしたの?そんなに怒らなくても……」 彼の声でハッと我に返ったあたしは震えた。 ど、どうしよう! 名前で呼ぶなって叫んじゃったよ。 「あ、あの……」 「まぁ、最初だし、恥ずかしがるのも仕方ないし。いいよ」 それを聞き、ホッと胸を撫で下ろした。 この人と、あの男の人が重なって見えたワケ。 それは、目的があたしを支配することだから。 それに、一方的だ。 この人と結婚なんかしない。 あたしは、大樹くんと結婚するんだから!