『じゅり……ちゃんってよぶのもダメ?』





大樹くんは悲しそうにして、今にも泣きそうな顔を見せる。





『ダメッ……!よばれるの、こわいの』




小さいあたしは、何かに怯えた顔をした。






『ごめんね、じゃあ……よばない』





今にも涙を流しそうだ。





『このまえのこと、わすれちゃったの?』




控えめに大樹くんは聞く。




『このまえ?それってなぁに?』





『いやなめにあったんだよ、おとこのひとに……』





『そんなことはおもいだせないの、ううん、おもいだしたくない』





小さな声でつぶやいた。