『じゅり!』
幼い大樹くんが小さいあたしに駆け寄っているところだった。
小さいあたしの目は、虚ろだった。
酷いことをされたのだ。
だから、それは……当たり前。
『だいじょうぶだった!?』
『だれ?……あなた』
目を疑った。
大樹くんの記憶を失ってる……?
『……え?ぼくだよ、だいき』
大樹くんが優しく教えても、小さいあたしは知らないと言った。
そして、涙を一粒流しながらこう言ったんだ。
『あたしのなまえ……よんじゃダメ』
『え?どう……して?』
『じゅりってよばれたくない』
ボロボロと涙を流す。

