……それに、まず大樹くんがあたしを助けてくれるか分からないもん。
あんなに酷いこと言っちゃったから嫌われて同然。
唯華が連絡しても来てくれないかもしれない。
だから、叫ぼう。
あたしは、すぅっと息を吸った。
あたしの顔つきと行動に気がついたのか、手で口を塞がれた。
「……叫ぶのはナシだよ、樹里」
胸がドクン、と嫌な音を立てた気がした。
この人、声が低くなった。
「僕は樹里が好きなんだ。だから、声を出しちゃダメだよ?」
ふっ、と静かに笑った後、堪えきれないようにははは、と笑い出した。
ねぇ、なんで?
おかしいよ。

