あたし、大樹くんの思ってること何一つ知らない。
知らないあたしが悪い。
ふ、と体を包んでいた温もりが離れた。
あたしの頭をまた撫でる。
「ピザ来たら貰って」
大樹くんはそう言って、2階へ上がって行った。
パタンと扉の閉まる音がした。
「大樹くん……ック、」
涙が出て来た。
好きな人に名前を呼んでもらえない。
でも、大樹くんにはきっと呼びたくない理由があるんだ。
無理強いしちゃった。
「ごめんね、大樹くん」
そっと謝って、ソファーに腰を下ろした。
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