「あたしのこと、名前でっ……樹里って呼んで欲しいっ」




あたしは自分の手をギュッと握り締めた。





怖い、拒否されそうで。




大樹くんの次の言葉を待つ。






「これからはちゃんと呼ぶよ、今まで呼んでなくてごめんな」





ポンポン、と頭を撫でられた。





え……。





予期せぬ言葉だった。




これから呼ぶ?




今まで呼んでなくてごめん?





あたしの名前……そんなに呼びたくない?






あたしの名前……嫌い?





困ったような顔にあたしも困惑してしまった。





どうしてそんな顔をするの?