「あ、郁人くん歌い終わったよ」
「ほんとだ、曽木くん上手かったね〜」
パチパチ、と拍手が起こる。
曽木くんは嬉しそう。
そして、麻衣の元に期待した眼差しで近寄る。
「麻衣、俺も混ぜて」
「え、今恋バナしてるの。後でね」
ワクワクしたような顔を見せる曽木くんと、冷たくあしらう麻衣。
まるで犬と猫みたい。
犬が曽木くんで猫が麻衣。
「……犬系男子と猫系女子?」
あたしはボソリとつぶやいた。
そのつぶやきは、唯華に聞こえていたみたいで。
「それ、中学の時も言ってたよね」
「へ?」
中学の時……言ってたっけ?

