「あと、俺のことは下の名前でいいからね」


いきなりなのに、呼んでもいいのかな?


「えっと、じゃあ大樹くん。」


「うん」



“大樹くん”




その響きが、心地いい。


「あ、あたしの名前も樹里でいいです!」



なぜか、名前で呼んでほしかった。




だけど彼、大樹くんはあたしの名前を呼ばず、ただ“うん、分かった”と言っただけだった。