「……あぁ、寝てたから。連れて来て、熱でうなされてたから」 熱でうなされてた? あたしが? 「それで、少しでも和らぐように手を握ってたら……そのまま」 苦笑気味に言う大樹くん。 そんなことしてくれてたんだ……! 「ありがとう、大樹くん」 嬉しくなって、顔が綻んだ。 「そうだ、熱計んないとな」 体温計を渡される。 手はもう離れていた。 ……もう、離れちゃった。 まだ、繋いでいたかったなぁ……なんて、口が裂けても言えないけど。 熱を計ると37.2度だった。 よかった、下がってくれた。