その場に立ったままのあたしを見た大樹くんはあたしの腕を軽く引っ張った。
「わっ……」
油断していて力が抜けていたあたしは、いとも簡単に引っ張られて大樹くんの腕へ向かう。
そのままボスリと収まった。
「ごめんごめん、強かった?」
「ううん……」
何ですかね、この態勢は。
だ、抱きしめられてます!
なんか、甘い雰囲気が漂ってます!
大樹くんと目が合う。
今まで見たことない少し色っぽい目にドキリと胸が鳴る。
熱のせいであたしがそう見えているだけなのかもしれないけど。
大樹くんの右手が、あたしの左頬に触れる。

