……でも、もう。






その記憶さえも憶えていない。





大樹くんに似ていると思うのに、顔もうろ覚え。





何か大事なことのはずなのに、忘れてしまった。





「……なんで、嫌なことばっか憶えてるの?」





気づいたら、呟いていた。






「なんで、思い出せないの……っ」





涙が出てくる。




思い出したい、大事にしたい。





でも、この気持ちは何?





なんで、こんな風に思うの?




考えようとする度に頭が混乱する。





もう、嫌だよ。





嫌われるのは……否定されるのは。





泣くのを堪えて、あたしは大樹くんを待った。