「みんな、早いね〜」




試着室のドアから話しかける。





「中谷も着替え終わった?」





「うん、でも似合わない!」





だからあたしはドアからだった。





こんな可愛い服、あたしなんかに似合わない。





「ちょっと、山崎くん。樹里迎えに行って?」





首を傾げる唯華。




それは、計算でやっているんですか!?





山崎くん、少し顔が赤くなってますよ!





「ああ、中谷。ハイ、手ェ貸して」





スタスタと歩いてきて手を差し出された。




あたしは手を出さない。





見せられるほど良くない。





元から良くないんだけどね。