「気づいてなかったのか……どっからどう見てもナンパだったけど」





そう言われても……ナンパなんてされたことなかったから分かんないんだもん。





「ここはあまり人がいないんだな」





辺りを見回す大樹くん。




「うん、さっきのところに比べたら少ないみたい」





和らいだ大樹くんの顔を見てあたしは安心した。






ホント、7月に入ってからあたし迷惑かけてばかりだね。





「……ん」





あたしの前に差し出された手。




細くて長い大樹くんの手だ。





「手……?」






「またはぐれたら嫌だからさ」






手を繋ぐってこと?