「ごめん、少しだけこうさせて」
疲れが少し取れたのか、声を発する大樹くん。
「……うん、あたしで良ければ」
あんな人混みでさらに暑い中、一生懸命探してくれたのかな?
さぞかし大変だっただろう。
申し訳ない気持ちになる。
「あの……」
あたしが声を発したと同時に安堵の声が大樹くんから聞こえた。
「よかった、無事で……」
心から安心したようなその声に、あたしの胸は高鳴る。
「いなくなって、焦って……すっげー探した。なのにナンパされてるし」
「あ、あれってナンパだったの?」
不思議そうに言うあたしの肩を軽く掴んだ。

