「聞こえている。口を慎みなさい、デュラク。……少なくとも、今だけは」

まだ幼さの残る凛とした声音で、リヴィランスはデュラクという名の少年を言葉で制す。

するとその瞬間、これまで雲に遮られていた月光が、二人を淡く照らし出した。

目の前に広がる、リヴィランスの海のように澄んだ薄青色の髪が、風によってサラサラとなびく。月光を受けてさらに輝くその姿は、まるで神話の中に現れる妖精のようだ。

そんなことを頭の隅でぼんやりと考えながらも、デュラクは小さく息をついて、少女に謝罪する。

「…申し訳ありません。お嬢様」

デュラクは感情を殺した声で謝罪し、瞳を伏せた。