Black Beast.




「 すずくん、ごめんね? 」


「 んー?別に? 」



ぎゅっと抱きしめていた腕の力を
緩めて、腰に添えられていた
大勇くんの手を退けて
ちょっと強引に抜け出してみた。



私はすずくんに抱きついていたけど、
大勇くんは手を添える程度で、
いつだって抜け出せた。



私が抜けた後、”すずー!!”と
180cm以上ある身長の大勇くんが
すずくんにガバッと抱きついて、
そのノリで璃玖くんも後ろから
抱きついていて・・・



ごめんね、すずくん・・・



再度、心の中で謝った。



「 ・・・玲央くん? 」


「 ・・・・ 」



ムスッとした顔の玲央くんは
足を組んで頬杖突いていて
何か言いたげに眉を寄せていて、
だけど”察しろ”と目が言っている。



何で怒ってるかも分からないのに
察することなんてできない。



「 ・・・帰ります 」


「 ・・・ぁあ? 」



そもそも、他人と離れて生きることを
望んでここまで来たのに、
結局人と関わっていて、何しに
ここまで来たのか分からない。