Black Beast.




そう言う意味じゃないです!と
ぶんぶん手を振り回すと
チロリと横目で私を睨んで
大人しくなった私の手に指を絡めてきた。



「 恥ずかしい? 」


「 そ、そんなことないです! 」


「 ふーん・・・ 」



小さく笑いの混じったその声から
私をからかっているのは分かっていた。



分かっていた・・・けど。



「 ・・・柚菜ちゃん?
  顔赤いけど、どうしたの?寒い? 」



どうしても、あのキスが
頭から離れない。



大勇くんと居たときはあまり
考えずに居られたのに、
こうして会って、触れられてしまうと、
あの時の唇の感触、温度まで思い出して、
顔をまともに見られなくなってしまう。



「 そういえば、桜井くん 」


「 うん? 」


「 ・・・なんで部屋に居たんですか? 」



平静を装って話を切り出すけど
赤くなってる顔を見られたくなくて、
視線は足元へ落としたままだった。



大勇くんは私と玲央くんが
手を繋いでることに気付いているのか
楽しそうに笑っていた。