「 ・・・あれ、喧嘩中? 」



私が背中をくっつけているせいで
ドアが開かなかったらしく、
窓から入ろうとしていた彼は
きょとんとした顔で私たちを見ていた。



「 いや、喧嘩っつーより
  いじめなんじゃねぇの? 」


「 え、まじで? 」



珍しいものを見るような目で
私たちを見る2人は窓から
教室へ入って来た。



一部の女子が何やら騒いでいるけど
こんな騒ぎになっても胸倉は掴まれたままで
振り上げられた手もそのままだ。



「 1発やられてんな 」



私の赤くなった頬を見て
2人は口元を歪めた。



セットに時間が掛かっていそうな
栗色の髪の毛の男の人が振り上げられた
彼女の手をそっと掴んだ。
もう片方の手で胸倉を掴んでいた手を
掴むのかと思ったら、その手は迷いなく
彼女の腰へ回された。



「 女の子同士で手をあげちゃ
  だめだよ 」



優しく目を細めた彼がそう言えば
彼女はすっと私の胸倉から手を引いた。