Black Beast.




朝食を終えて、みんなで
旅館を出てすぐにバスに乗った。



すずくんが行きたがっていたという
”遊園地”へ行くバスは
夏休みの時期なだけあって人が多い。



「 ・・・・何もないね 」



良く言えば緑が多いところ。
一言で言えば田舎なこの辺は
ポツポツと建物があるだけで
文字通り何もなかった。



見慣れていた風景を久々に
眺めていた私の耳を掠める
大勇くんたちの声はいかにも
都会から来た人って感じで、



「 見渡す限り畑だな! 」


「 ここからでも海見えんの?! 」



・・・・少し、恥ずかしくなった。



私があっちに行ったときは
ビルの高さと、人の多さに
驚愕していたというのに。



バスを降りてから大勇くんと
すずくん、璃玖くんは
ビルも何もない空を見上げて
”すげぇ”なんて言っていて、
思わず笑ってしまった。



「 すずくん 」


「 柚菜、ここ来たことある!? 」


「 ・・・う、うん 」



”期待しない方が、”と言いかけて
きゅっと口を噤んだ。
楽しそうに目を輝かせるすずくんに
”楽しくないよ”なんて言えるわけがない。