「 玲央くん・・・玲央くんッ 」
1歩ずつ、車に近づいていく中、
玲央くんを呼んだ私の口は
手で塞がれた。
玲央くん。玲央くん。
それでも心の中で何度も何度も
呼び続けていた。
──────────────ガンッ
車のドアが、開いたんだと思った。
もうだめだってその瞬間
全身の力が抜けて行った。
「 ・・・・誰の女だと思ってんだ? 」
伏せた目から零れる涙が
ピタッと止まって。
私はゆっくり、声のした方へ
視線を向けた。
「 あぁ、”玲央くん”でしょ? 」
からかうような返事に
玲央くんは何も言わず、
ゆっくりと口角を吊り上げた。

