ブレザーを着ているってことは
拓未くんではないようで、
髪の色からして大勇くんでも
ないようだった。
わざと知り合いの居なさそうな
地元から何時間もかかるところにある
高校を選んで入学した人見知りの私に、
友達なんて居るはずがない。
・・・・ましてや、彼氏なんて。
あまりの眠さに間違えて教室に入って
自分の席と間違えてる・・・とか?
そんなわけないと思いつつ、
そう思うしかなくて、とりあえず
なんとかして課題を取ろうと
自分の席へとゆっくり足を進めていく。
自分の席のはずなのに、
どうしてこんなビクビクしなきゃ
いけないんだろう。
男の人のすぐ隣にしゃがんで
恐る恐る机の中に手を伸ばす。
起きませんように。と内心は
そればかりだった。
「 ─────────────・・誰? 」
私の願いも虚しく、教室内に響いていた
寝息の代わりに威嚇するような低い声が
私の脳内に響いた。

