Black Beast.




「 拓未くん 」


「 ・・・・? 」



寝たまま私を見上げた拓未くんの手を
そっと両手で握って、



「 誕生日、おめでとう 」



拓未くんの18回目の誕生日が
終わる数分前にそう伝えた。



私が強く手を握ると、力なく
握り返して、”ありがとう”と
拓未くんは小さく笑った。



「 拓未 」


「 ・・・玲央 」



傍に置いておいた私の飲みかけのココアを
飲み干した玲央くんが立ち上がって、
拓未くんを見下ろした。



・・・間接キス・・・なんて、
言ってる場合じゃないのは分かってるけど、
顔が段々熱くなっていくのを感じて
拓未くんの手を離し、熱を冷ますように
両手で顔を仰いだ。



「 アキラじゃねぇんだろ? 」


「 ・・・ああ、多分弟の方だ 」


「 何人だ? 」


「 5人・・は居た 」



記憶が曖昧なのか、片手で
髪をかき上げた拓未くんに
背中を向けた玲央くんは
紫緒さんの前で立ち止まった。