Black Beast.




















・・・・いや、大勇くんの声で
止まったんじゃない。



「 おー、やっとお目覚めか 」



日付を跨ぐ数分前。
拓未くんは薄っすらと目を開けて、
紫緒さんの声を聞くなり
眉を寄せていた。



「 拓未ぃぃぃ!!!! 」



ガバッと拓未くんに抱きついた
すずくんは、どうやら拓未くんが
怪我人だということを忘れているらしい。



痛みに顔を歪めながらも、
拓未くんはすずくんに
”ごめんな”と掠れた声で言った。



「 ほんとに、心配かけやがって 」


「 ・・・ああ、悪い 」



いつもより低く聞こえる拓未くんの声が
なんだかすごく久しぶりに聞いた気がして、
嬉しくて、少し泣きそうになった。