Black Beast.




言葉なんて出なかった。



目を丸くしたすずくんの手には
乾いた血の色をしたパーカー。



赤黒い血の色に染まったそれを
何も言わず、下唇をぐっと噛みながら
片付けるすずくんをしばらく黙って見ていた。



「 ・・・・ッくそ・・!! 」



本当はみんな、今すぐにでも
病室を出て行きたくて、
やり返しに行きたくて仕方ないんだろう。



璃玖くんの搾り出した声は
やっぱり怒りで震えていて、
私のすぐ目の前に居る玲央くんは
イラついたように前髪をかき上げ、
長い溜息を吐き出していた。



「 飲み物でも買って来るか 」



静かに開いたドアから
ひょっこり顔を出した紫緒さんは
ベッドに近寄り、目を閉じた
拓未くんを見下ろしていた。



「 やり返したいのは分かるけどなぁ、
  やり方は考えろよ、お前ら 」


「 ・・・おっさん 」


「 こういうときくらい名前で呼べよ・・・ 」



ベッドに浅く腰掛けて、
元気のない大勇くんに笑いかける。