「 なんで希が佐渡の弟を
知ってんの? 」
「 いや、俺の中学じゃ結構
有名な話だったからな 」
「 アキラが弟をボコったって? 」
「 あぁ、弟相手に容赦なかったらしい 」
正直、私には無縁な話だと思った。
殴り合いの喧嘩なんて話を
中学の頃聞いた覚えがない。
そんなに前からみんなはそういう毎日を
当たり前に過ごしていたのか、と
そう思うと少し寂しく感じた。
さっきから普通に話しているようで、
2人の声は微かに震えていて、
よく見ると手を強く握っていた。
怒りを押し殺しているのは
玲央くんだけじゃない。
「 東高に入学したっつーのは、
最近知ったんだけど
・・・まぁ、弟の方だろうな 」
そう言いながら、希くんは
指の関節を鳴らしていた。
・・・・嫌な予感しかしない。
”璃玖くんが戻ってきたら
みんな一斉に出て行くんじゃないか。”
そんなことを考えていたら、
バタバタと廊下を走ってくる足音が聞こえてきた。

