「ゆ、ゆーーーーーうぅぅぅうー」


「…何?春」




「い、いつまで歩くのよ。いや、この私をいつまで歩かせるのよ!」

「そんなこと言われてもね…」


「もう嫌」

「でもまだ歩いて10分も経ってないぞ?このくらいで疲れたのか?」


「つ、疲れてないもん!ちょっと暑くて周りがミーンミーンってうるさいから嫌になっただけだもん」


「でも歩いてもらわないと困るんだけど」


「大体何なの!?このど田舎!私たちが乗ってたバス以外、車一台も見てないし、コンビニすら無いってどういうことよ!」



「仕方ないだろ?もう少し歩けばスーパーがあるからそこまで頑張ろう?な?」


「うう〜…」




すると、優がアスファルトに、座り込んで動けなくなった私の所まで
しぶしぶ戻って来てくれた。

私の目の前まできた優は私に手を差し伸べる。


「ほら、手ぐらい貸すから。行くぞ」




優の手…






無意識に片手が優の手に伸びたが私は慌ててその手を引っ込める。

「い、嫌!歩きたくない!」

「えー、ならどうしろって言うんだよ」





「…歩きたくない…もん」