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8月14日
…つまり優と春がアパートに着いてからの翌朝。








「ふ、うぅ〜ん…」





光が…眩しい…
もう朝になったの?


ゆっくりとまぶたを開く。
光はカーテンから入ってきたものだった。

服は昨日のままで、何にもかけずに寝ていたはずが、何故か薄いタオルのようなものが一枚私にかかっていた。
きっと、優がかけてくれたんだろう。

部屋中を見渡すと、昨日までの荷物が8割くらいも減ってしまっていた。
もしかして、あの後優は夜中まで起きて作業してくれていたのであろうか…



「ふぅ、あ…はぁー」


思わずため息が出てしまう。
昨日、あんな夢を見たからであろうか?

あんな夢、見なくても分かっている。
これからは誰にも頼らず、優と私、二人で生きていかなくてはならない。

そう、あの時決めた。
引き取ってくれた夫婦が亡くなった、今から約ニ週間前に優はずっと私の手を握って、私に「僕がいるから安心しろ」と何度も言い続けてくれた。
それは、「もう二人で進むしかない」という合図。
「僕は消えない」というメッセージ。



だから…
私たちはまたこのとっくにつぶれたアパートに戻ってきたのだ。

両親のにおいと過ごした時間たちがかすかに残っている、この場所に…