ガタン…
プシュー… ガラガラ…
私たちの目の前で古ぼけたバスがゆっくりとドアを開ける。
優(ゆう)の後に続いて私が乗り込む。
後ろの方の席に私たちが座るとドアが閉まり、バスはすぐに走り出した。
私たち以外誰も乗っていなかった。
だから、車内はとっても静かだった。
優が端っこの席を譲ってくれたからバスの窓から大自然の景色が見れた。
「わあ…、すごい」
思わず口から感想が漏れる。
しまった…と思い、振り向くと
優は横目で私を見て笑った。
「どう?」
優が私に聞いてきた。
「別に」
私はそっけない返事をしてしまった。
「いいところだろ」
「……別に」
私、今可愛くない…と思った。