「・・・そう、ならいいんだけど」
直希はそう言い残し、机に向き直った。
やっと前向いてくれた・・・
これ以上見られたら、心臓持たないって・・・。
私は熱くなった顔を手でパタパタ仰ぎながら、小さくため息をついた。
「そうだ、あのさ・・・」
「うわあ!!」
ホッと胸を撫で下ろした瞬間、直希がまた振り返った。
私はその動きにビクッと反応し、すぐに窓にとびつく。
「何その反応・・・」
「ご、ごめん・・・」
でも急に振り向かれても、こっちも心臓が・・・
そんな私の様子を見た直希は、呆れるようにため息をつき、さっきの続きを言う。
「今度、親がいないから、そっちいくかも」
「う、うん・・・」
私には大学生の兄がいる。
兄は私がいるからか面倒見がよく、直希ともよく遊んでいた。
そのおかげで、共働きの両親を持つ直希は、高校に上がってからもよく兄に会いに来る。
つまり家に来る。
まあ、わかってるけどね、私に会いに来てるわけじゃないって。
でもさー
でもさー・・・。

