蒼衣が言うには、私はわかりやすいらしく。
だとしたら恥ずかしいけど、でも嫌じゃない。
だって、直希に気づいて欲しいっていう気持ちも、あるから。
眼中になくても、私の気持ちに気づいて欲しい。
そうやって直樹の隙に入ろうとしている私は、すごくずるいのかもしれない。
でも、それが私の本当の気持ちだった。
「沙姫!」
「はいぃ!?」
「・・・すっげー声」
話しかけてきたのは、前の席にいた直希。
ついさっきまで直希のことを考えていたからか、私の体温が跳ね上がる。
「急に話しかけてくるからでしょ!」
「まーまー落ち着けって」
「落ち着いてるし!」
可愛くないなって、自分でも思う。
もっと素直になれたらいいのに。
そう思うと、ベリーはやっぱり私とは正反対。
ああーだめ。気分沈む・・・。
「ってか、お前大丈夫?」
「え?何が?」
「さっき、ボーッとしてたじゃん」
・・・それってもしかして。
私のこと、気にかけてくれた・・・?
違う。
これはただの優しさ。
みんなにしているのと、同じ優しさ。
そんなこと、ずっと隣にいるんだからわかってる。
わかってる。
でも。
こんな小さなことでも、嬉しいって思ってる自分がいるのも確かだった。
馬鹿らしい?
「・・・っ!大丈夫・・・」
きっと赤くなっている顔を隠すために、私は顔を背ける。

