こみ上げる感情が喉の痛みとなって押し寄せてくる。



あぁ、どうしていつも私は。


こうも傷ついてばかりなの?

私はただ、直希に拓海くんみたいにしてあげたいと思っただけなのに。



傷だらけの心から痛みとも違う痛みが広がる。


・・・もう無理かもしれない。


こんな辛いこと、もう・・・











「おいそこ!!なにやってる!!!」




もう限界。

押し込め切れなくなった感情が溢れる直前。

突然、教室中を振動させたんじゃないかってくらいどでかい声が、背後から襲ってきた。


瞬間、恐怖が元来備わっているであろう野生の本能を刺激する。


心臓が跳ねすぎて次の瞬間には止まるんじゃないかと思った。





しばらくの間時が止まったように、その場にいた全員が、息をするのも忘れて私の背後を見つめる。

思考さえも奪われてしまったような。

とにかく、頭の中の警鐘だけが響いていた。




「・・・おい無視かてめえら」


沈黙を破ったのは諸悪の根源だった。

その言葉を合図に、全員がすぐさま奴に向かって整列する。


私も同じようにさっと向き直った。


扉近くにこの世のものとは思えない形相で立っていたのは、我らが担任、藤岡だった。


その場に緊張が走る。

私はごくりと唾を飲み込んだ。