着いた先はいつもの教室だった。

・・・違う。人が黒板の前に群がっている。

何あれ?
何か書いてある・・・いや・・・写真?
目を凝らして黒板を見つめる。



え・・・?



血の気がさっと引いていくのがわかった。


ひとり、こっちに気づいて。
またひとり、私を見る。

集団心理って、どこかで聞いたことある、とか。

私の中の第三者が呟いた。




呆然。




なに、これ・・・?

違う。違うよ。

私こんなの・・・

「ねえねえ白井さん」

クラスメートの女の子の、好奇の目。
はっと我に返る。

「あれマジなの?杉岡から何か聞いて・・・」
「知らない」

むきになって強く言い切る。
けれど、動揺が声に表れた。

そう、私はこんなの知らない。



でも・・・そうなら、これが本当なら、昨日の話は、

・・・嘘ってこと?


頭を鈍器で殴られたような感覚。




待って。待ってよ。
ちょっと・・・待って。

「沙姫ちゃん・・・」

「う、そ・・・だよ・・・ね?」

あいつは嘘つくような奴じゃない。
きっとこれもなにかの誤解だよ。


そう思うなら、叫べばいいのに。


できない。



直希を信じることができない。

もう・・・わからない。


最低だ・・・。






私は 何を 信じれば いいの?







黒板には、冷やかすようにベリーと直希の名前が赤いハートで囲われていて。
証拠として、ベリーが直希に抱きついている写真が、まるで貶めるように貼られていた。