⇒沙姫side⇒
今、どんな気持ちでいる?
『振られたんだ、俺』
あんなに好きだった人に。
平気なわけない。
詳しいことはよく知らない。
でも、
『そうなら、よかった』
私なら、今の直希の気持ちをわかってあげられる。
たぶん初失恋ってのも、同じ・・・。
だから今、何かできることがあると思う。
共有できることがあると思う。
私はそれをしたいの。
拓海くんが、私にしてくれたみたいに。
「沙姫ちゃん!!」
「あ。おはよう拓海くん」
朝。眠気を引きずったまま登校した私が目をこすりながら靴を脱いでいると、拓海くんが血相を変えて駆け寄ってくる。
私はのんきに挨拶をする。
一瞬。
拓海くんが硬直して、沈黙が訪れた。
ん・・・?
何この間。
「・・・ちょっと」
「えっ?」
突然、拓海くんに腕をつかまれた。
びっくりして顔を上げる。
な・・・に?
澄んだ明るい色の瞳が、私を映す。
ちょっと動揺した。
だけど。
・・・?なんか・・・
すると、拓海くんは私の腕をつかんだまま走り出した。
「うえ!?ねえ拓海く・・・」
振り返るどころか、反応すらしてくれない。
やっぱりおかしい。なにかあったんだ。
直感的にそう察した私は、とにかく置いていかれないように足を動かした。
私この前にもこんな景色を見た。
あの時はがむしゃらになって走って・・・。
・・・拭いきれない。
消えてくれない。
頭をかすめる不安の二文字。
今、どんな気持ちでいる?
『振られたんだ、俺』
あんなに好きだった人に。
平気なわけない。
詳しいことはよく知らない。
でも、
『そうなら、よかった』
私なら、今の直希の気持ちをわかってあげられる。
たぶん初失恋ってのも、同じ・・・。
だから今、何かできることがあると思う。
共有できることがあると思う。
私はそれをしたいの。
拓海くんが、私にしてくれたみたいに。
「沙姫ちゃん!!」
「あ。おはよう拓海くん」
朝。眠気を引きずったまま登校した私が目をこすりながら靴を脱いでいると、拓海くんが血相を変えて駆け寄ってくる。
私はのんきに挨拶をする。
一瞬。
拓海くんが硬直して、沈黙が訪れた。
ん・・・?
何この間。
「・・・ちょっと」
「えっ?」
突然、拓海くんに腕をつかまれた。
びっくりして顔を上げる。
な・・・に?
澄んだ明るい色の瞳が、私を映す。
ちょっと動揺した。
だけど。
・・・?なんか・・・
すると、拓海くんは私の腕をつかんだまま走り出した。
「うえ!?ねえ拓海く・・・」
振り返るどころか、反応すらしてくれない。
やっぱりおかしい。なにかあったんだ。
直感的にそう察した私は、とにかく置いていかれないように足を動かした。
私この前にもこんな景色を見た。
あの時はがむしゃらになって走って・・・。
・・・拭いきれない。
消えてくれない。
頭をかすめる不安の二文字。

