「・・・じゃあ、付き合える?」
「それは無理」

輝いていた笑顔が固まる。

「え・・・なん・・・」
「直希くん」

頭上からため息混じりの言葉が降ってきた。
舞い上がった気持ちが一瞬にして突き落とされる。

「先生ね、子供のときからずっと教師になりたかったの」

・・・なんで。
いまさらそんな話し方するんだよ・・・?

「やっと・・・やっとつかんだ夢を、放したくない」
「それとこれとは関係ないだろ?」

動揺が波紋を呼んでいる。

対照的に、ベリーは冷静だった。

「あるよ。忘れたの?私は先生。きみは生徒」

言い回しに焦りが加速される。

「そうだけど・・・は?好きなんだよな?」
「うん。だから、それだけで十分じゃない?」

十分・・・?

頭ん中真っ白。

なんだよ・・・この違和感。
何か、ずれてる。
まるで話が通じない。

何が言いたいのかはなんとなくわかる。
だけど・・・。

俺は、そんなあっさり引けるほど余裕ない。
だって俺がずっと望んでいたことだ。
そんな簡単に折れるものじゃない。

それは、俺が子供だから?


不満が顔に出たのか、ベリーは複雑そうな顔をして唇を噛む。

「仕方ないの・・・!」

吐き出された言葉は、残酷に、無責任に思いを引き裂く。
なんだよこれ、と思った。


どうせ

どうせ俺の立ち入る場所じゃないって遠ざけたいんだろ。

大人の事情とかゆー得体の知れないものに、うやむやにされておわり。

理想とかけ離れた目的地。

「・・・ごめんなさい」

沈んだ声にうなだれる。

・・・とどめ、刺された。