恐る恐る見上げると、ベリーは困惑して俺を凝視していた。

期待とか、してるつもりなかったんだけど。

う・・・わ・・・。

「あ!わ、わり・・・っ!今のは・・・えっと」
「ごめん」

ぴしゃりと言い放つ。
体の中にあるものが落ちていくような冷たい感覚に、思わず身震いする。
いやな予感が胸をよぎる。

「今は、そーゆーのはいい。だから・・・ごめんね」
「え・・・は?」

何、だよ、それ。

え?今振られた?以上終了?
なにこの・・・あっけない感じ。
適当にあしらわれたみたいな・・・。

表情が強張っていく。
凍りついたように、体が言うことをきかない。

嘘だろ・・・。

ほんとに終わったのか?これで・・・。

予想をしてなかったわけじゃないけど、俺よくわかってなかった。

本当に痛い。


「あー・・・やっぱだめ」

しばらく鋭く観察するような目で俺を見ていたベリーが、突然ふっと笑った。

傷ついたせいだろうか。
ベリーのひとつひとつの行動に、いつもより過敏に反応してしまう。

なに?
なんだよ?
だめって?

「嘘、でした。私も・・・好きです」

微笑みながら言うベリー。
僅かに身構えていた俺の肩の力が抜ける。

は?
撤回?
なにこれ
好きってなにが?
まさか・・・。
じゃあさっきのはなに?

混乱。

「・・・まじすか」
「まじです」

これがまた、と気恥ずかしそうに笑う。
そういわれても信憑性がない。
まさか、からかわれてんのか?

「本当だよ。本当に、すきなの」

切ない表情で、訴えるように俺を見上げる。
それをみたら、どうしても。
嘘だなんて思えなかった。

いや、違うな。
思いたくなかった。

「現実?」
「うん」
「夢じゃない?」
「うん」

俺の気持ちを受け入れるみたいに、何度も何度もうなずく。

柄にもなく、泣きそうになった。

いいようもない気持ちが、心から溢れる。
これが、思いが届いた瞬間。