「・・・沙姫?」
「ぅえっ!?何!?」
「・・・すごい声。じゃなくて、もうすぐ昼休み終わるよ?」
蒼衣は心配そうに私の顔を覗き込む。
「え、うん。え?なに?」
「いや・・・私が話してても上の空だったからさー」
蒼衣は腕を組んで言った。
外見もショートだし男勝りだけど、根は優しいって私は知ってる。
今だって、私を気遣ってくれたみたいだし。
「じゃ、もうホントに行くから」
「うん、じゃーね!」
「バイバーイ」
私たちは大きく手を振りながら別れた。
中学の時、体育で2人組のチームを作れってのがあった。
それで、たまたま一緒にやることになったのが蒼衣。
たったそれだけの出会いだったけど、蒼衣とはすぐに打ち解けた。
それをきっかけに、蒼衣も話しかけてくれることが増えて。
いつの間にか仲のいい友達になってた。
気さくな人だから、話しやすかったのかもしれない。

