⇒直希side⇒

沙姫に告られた。

気づいてなかったわけじゃない。
だいぶ前にも、似たようなことを言われた記憶があったから。
だけどそのときは、ことの重大さを感じて華麗にスルーした。
だからなんとなく、頭の片隅に残ってはいたけど、最近はさっぱり忘れていた。
だからちょっと、面食らった。


その日の放課後。
誰もいない廊下。
探していた、うしろ姿を発見した。

誰よりも愛しい人。



「ねーベリー、あの時なんで泣いてたの?」
「へぇっ!?わ、忘れてよそんなこと!」
「ねーなんで?」

顔を背けようとするベリーの視線をいたずらっぽく笑いながら捕らえる。
目が合うと、気まずそうにしかめた顔を赤く染めた。
おっと。

「怒った?」
「・・・」
「怒ったね」

顔を覗き込むと、更に赤くなった顔で俺を睨んだ。
うおい、まじその顔やめて。
俺死んじゃうよ?

照れ笑いをしながら頬杖をつく。

「顔真っ赤だよ?」
「そりゃ、直希くんはいかんせんお顔がよろしいから・・・」
「え?」

瞬間、しまった、と空笑いをして口を押さえる。
その光景を唖然として見つめる。

今なんつった?
お顔がよろしい?
ってつまり!?

瞬間、彼女はしまった、と空笑いして口を押さえる。
その光景を唖然として見つめる。

今何つった?それって・・・
それってもしかして、

「かっこいいって思ってたの?・・・俺を?」
「そ、れは・・・・・・まあ」

間を空けてこくりとうなずく。
俺は立ち尽くしていた。
ベリーが・・・
ベリーが俺を、かっこいいって・・・。
ベリーが俺を、かっこいいって・・・!

「~っ」

やば・・・、やばい・・・っ。

お互い真っ赤になりながら口を閉ざす。
不思議と沈黙が気にならない。

「・・・うれしい」

何言ってんの俺・・・。