そして帰り道。

「・・・」
「・・・」

重い。

なんだいこの空気。
どっからどうみても葬式帰りのじーさんばーさんの雰囲気じゃん・・・。

何が放課後デートだよ・・・。私だけ浮かれちゃって、馬鹿みたい。
なんか、悲しくなってきた。

私たちって幼馴染だったよね?
家だって近くにあるのに、
学校も一緒なのに、

なんで、久しぶり、だなんて・・・


虚しいよ。

「沙姫」

沈黙を破った直希の声に、過剰なまでに反応する。
どちらともなく足を止める。


「昨日、告った」


抑揚のない声で呟く。


「・・・え」
「ベリー、に」

告った・・・え?

「あ、あー・・・そか」

かろうじて返事をしたけど、いまいち言葉を整理できない。
告った・・・こく・・・た。えっ?

「・・・返事、気にならない?」
「返事・・・?・・・あぁ、返事」

反応が薄かったからか、私を見下ろして言う。
それでも私はたいした反応もできず、俯いたままぎこちなく笑う。

聞けって言うの?

私に・・・ベリーとどうなったって?
どーもこーも振られて以外考えられないような奴ですよ?

私は。


「・・・た」
「え・・・」

幻聴、だ。みっともない・・・。
自虐的な笑みを浮かべた。

恋心なんかいらない。
これ以上惨めにさせないでよ。
・・・もういいやめて。

消えちゃえ。


「―たんだ」

幻聴。

「嘘」
「そうなら、よかった」

う・・・嘘だ。そうでしょ?
じゃなきゃ私は・・・。

嫌だ消えろ!

「振られたんだ、俺」
「は・・・、」

幻聴なわけなかった。


ねえ。喜んでいいの?
なんでそれを私に言うの?
聞いたからって私に何ができる?
ほんと、いまさら・・・。



―あぁ。

ごめん直希。

私やっぱ嬉しいよ。
直希が振られて、嬉しいって思ってる。
私まだ直希が好きなんだよ。

こんな気持ち、できることなら捨て去りたい。
でもどうしたって好きなの。

好き。

でも多分いらないね?
私じゃ、意味がないから。