「いつでも相談乗るからね」
「そーしてもらえると助かるよ」

拓海くんはため息をついて小さく微笑む。

ん?
何か拓海くんが変。
って当たり前?恋だから?
普段も変人だけど。
それとは違うとゆーか・・・。
うーん、調子狂う。

キーンコーンカーンコーン・・・

「「あ」」

私が首をひねっていると、ふいにチャイムが鳴った。

「終わっちゃったね」
「あぁ・・・私のパラダイス」
「次もサボる?」

淡々とした音に嘆いていると、拓海くんが恐ろしいことを言い出したので、慌てて首を横に振る。

まぁ、すでに怒られるのは決定なんだから、そう変わらない気もするけどね。

「あー憂鬱だ」
「でも沙姫ちゃんは幽体離脱とかできそうだから・・・」
「はぁぁやだな~」
「えっスルー!?」

でもベリーには会わなかったし、不幸中の幸いかな。
順番逆だけど。

ってあれ?
そういえば私・・・。

拓海くんを見ると、何か?という目で見つめ返してくる。
私は目をぱちくりさせる。

いつの間に、直希の事忘れてたんだろう。

トラウマになってたはずでしょ?
顔も見れないくらい・・・。

『俺も行く』

・・・。いやでも・・・。

『やっと笑ったから』


まさか・・・
まさか拓海くん、忘れさせようとしてくれたの・・・?


何か見抜けないかと目を見据える。
だけど不思議そうな顔をするだけで、とても計算でやったとは思えない。

ただの偶然?

「た・・・」
「きみたちぃ?」

はっとして扉を見ると、不敵な笑みを浮かべた養護教諭が仁王立ちしていた。

次の瞬間一目散に逃げ出すが、物の見事に捕らえられた。


その後私たちが血祭りに上げられたのは、言うまでもない。