きみのうしろ姿


「・・・怒るのも当然だってわかってる」

確かにあの時は必死で。
ベリーが怪我をしたってことで、かなり混乱してた。
だけど、このままだったら、
もしかしたら縁切れるかもとか、勝手に考えて。

それだけは嫌だって。
心の底から思ったから。

わかりにくいけど、沙姫は本当は人にすごく優しくなれる奴だ。
だから、このまま疎遠になるのは悲しすぎる。

「・・・」

そう思ってるのは、俺だけ?

「おいって」

いい加減、返答が無いのに違和感を感じた俺は、再び沙姫の肩を掴む。

「沙姫」
「あのさ」

ようやく口を開いた沙姫は、俺の手を振り払うように一歩身を引いて振り返った。
はっとして彼女の眼を見ると、ほんの少し赤くなっているような気がして。
俺はどきりと意表を突かれた。

まさか・・・泣いたの?

「直希、ベリーのこと、好きでしょ」

・・・はい??
は?
は?
は?
すきでしょ
すきでしょ?
すきでしょ!?

「ぅえっ!?」

頭の中であっちからこっちに行き交って反響してこだまになる沙姫の言葉。
突然突拍子も無いこと(曰く図星)を口走られ、一気に顔に血が巡る。
は・・・っ!?何でバレてんの!?誰にも言ってねーのに!
え?え?なっ・・・
え!?

「わかりやすすぎんの、あんた」
「は、はあ?」

だめだ。動揺しすぎていつもみたいにできない。
もう・・・今自覚した。俺めっっっちゃわかりやすい・・・。

「ほんとに好き・・・なの」

沙姫は素っ気なく言った。
ここで認めたら、もう後戻りはできないのか。
なんて、すっげー今更。

でも先生だ。
仮にも俺とベリーは、生徒と教師。
世に言う、禁断恋愛ってやつ・・・たぶん。