沙姫がどこにいるのか。
なんとなく、あいつの考えていることは予想がつく。
今だけじゃなく、ずっとそう。
昔から一緒にいた成果。
案の定、数分もたたないうちに、立ち止まっている沙姫のうしろ姿を見つけた。
「沙姫!」
呼吸を整えつつ、数メートル離れた場所で立ち止まり、叫ぶ。
彼女のうしろ姿に反応は無い。
「さーきーぃ!」
俺は歩きながらまた叫んだ。
反応無し。
まさかわざと?
・・・自業自得。
俺は自嘲しながら懲りずに呼ぶ。
「沙姫!」
もう少し行けば肩をたたける距離だけど、こーなったら意地だと思って、すぐうしろまで歩いて反応を待つ。
「・・・」
応答なーし。
わざとだ、こいつわざとやってるよ。
ここまで怒らせてたのか、俺。
『ふざけんなよ・・・』
改めて自分の言動を思い出すと、沙姫への罪悪感が心を占領して、とてつもない後悔が溢れる。
オレがもし誤解されて、沙姫にこんな言葉を突きつけられたら。
きっと正気ではいられない。
家族の一員だから。
その、家族に、俺は刃を向けた。
――ごめん。
俺はもしかして、いやたぶん絶対、ものすごいことを口走ったのかもしれない。
謝らないといけない。
「おいって!沙姫!」
観念して、彼女の肩を叩く。
振り向く気配は無い。
だけど俺はそのまま続けた。
「・・・ごめん!」
見えていないとはわかっていても、勢いよく頭を下げる。
「ベリーから、全部聞いた。ほんとごめんな。俺必死で、周り見えてなくて・・・」
いつもなら普通に接している相手に、らしくもなく頭を下げている。
異様な光景だけど、俺はとにかく沙姫に謝らなきゃいけないという使命感に取り付かれていた。

